
留置場に家族が入ったとき、「持病の精神安定剤はちゃんと飲めるのだろうか」と心配になるのではないでしょうか?
また、逮捕・勾留という精神的ストレスの中で「精神安定剤が必要になるのではないか」と不安に感じる方も多いかもしれません。
この記事では、留置場における精神安定剤の使用実態や、処方の流れ、家族ができるサポートなどについて詳しく解説していき、留置場生活での精神的健康維持に役立つ情報をお届けします。
留置場での精神安定剤使用:基本情報
留置場では基本的に、医師が必要と判断した場合に薬の服用が認められています。
ただし、入所前から処方されていた薬については、持ち込みが出来ず、逮捕され留置場に入る前に刑事同伴で受診をして改めて内服薬を処方してもらう必要があります。場合によっては留置場に入った後に病院に護送される場合もあります。
しかし、実際の運用には留置場ごとに違いがあり、必ずしもスムーズに服薬が継続できるわけではありません。
特に精神安定剤については慎重な対応がなされることが多いのが実情です。
留置場と精神安定剤に関する基本事項
- 持病の薬は基本的に継続可能:
- 事前に処方されていた精神安定剤は、留置場に入る前後に受診の必要はありますが、医師が必要性を認めれば、基本的に継続が可能です。
- 新規処方には診察が必要:
- 留置場内で新たに精神安定剤が必要になった場合は、留置場の嘱託医や外部の医療機関での診察が必要です。
- 薬の管理は留置担当官:
- 薬の自己管理はできず、指定された時間に留置担当官から渡されます。
- 薬の種類によって制限がある場合も:
- 依存性の高い薬剤や、意識レベルを著しく低下させる薬剤については制限される可能性があります。いずれにしても、警察の嘱託医や受診した病院の医師の判断によります。
留置場での薬の管理と服用方法
留置場では、被留置者が薬を自己管理することはできません。
すべての薬は留置担当官によって管理され、決められた時間に配布されます。
服薬の流れ
- 服薬時間:
- 基本的に朝・昼・夕の食事時や就寝前など決まった時間に服薬します。
- 配薬方法:
- 留置担当官が薬を持ってきて、その場で服用を確認します。
- 服用確認:安定剤など特定の薬については、確実に飲み込んだことを確認するために口の中をチェックされることもあります
- 服薬の確認方法:
- 留置担当官が薬を包装から取り出す。
- 被留置者は薬をもらい、口に入れて舌の上に薬を乗せ、その薬を留置担当官に見せる。
- 留置担当官が「良し」と言ったら、手持ちの水で薬を飲む。
- 薬を飲んだら、口の中を留置担当官に見せて、薬の飲み残しがないことを確認してもらう。
- 服薬の確認方法:
- 薬の保管:
- 留置担当官の詰所付近で保管されています。
処方薬の持ち込み
逮捕時にすでに処方薬を服用している場合であっても処方薬は持ち込めません。また、家族や弁護士が差し入れることもできません。
処方薬をスムーズに処方してもらうために、以下のようなものがあると良いでしょう。
- 医師の処方箋(3ヶ月以内のもの)
- 薬の説明書またはお薬手帳
- 場合によっては診断書
これらが揃っていれば、原則として継続服用が認められやすくなります。おすすめはお薬手帳を見せることです。
タイミングや服薬の必要性によっては、留置場の医師の診断を改めて受ける必要があることもあります。
精神安定剤とは? 一般的にどのような症状で処方される?
精神安定剤は、主に不安やストレスを和らげるために使用される薬剤です。
具体的には、以下のような症状に対して処方されることがあります。
抗不安薬(精神安定剤)
- 不安障害:パニック障害や一般性不安障害など、不安を伴う症状に対して使用されます。
- 一時的なストレス:急なストレスや緊張を和らげるために使用されます。
気分安定薬
- 双極性感情障害:躁状態やうつ状態を安定させるために使用されます。
- 統合失調症:症状の安定化に役立ちます。
使用上の注意点
- 副作用:眠気、ふらつき、健忘、構音障害などが報告されています。
- 依存性:長期間使用すると依存を生じる可能性があります。医師の指示に従い、慎重に服用することが重要です。
精神安定剤は、症状に応じて適切に使用されるべきです。医師の診断と指示のもとで服用することが推奨されます。
留置場で精神安定剤が処方されるケース
精神安定剤が一般的にどのような症状で使われるのか、ご案内してきました。
次に、留置場ではどのような時に精神安定剤が処方されるのか、ご案内していきます。
特に初めての逮捕・勾留では留置場生活でのストレスを強く感じやすいものです。そのような時に不安や不眠などの症状が出てきやすいと言え、精神安定剤が処方されるケースがあります。
新規処方される主なケース
- 強い不安症状:過呼吸や動悸、パニック発作などが見られる場合
- 重度の不眠:数日間ほとんど眠れないなど、健康に影響が出る場合
- うつ症状の悪化:著しく食欲が落ちる、反応が鈍くなるなどの場合
- 自傷行為のリスク:自殺企図や自傷行為のリスクがある場合
処方の流れ
留置場で体調不良を訴えると、まず留置担当官に伝えることになります。その後、以下の流れで診察・処方が行われます:
- 体調不良の申告:
- 留置担当官に症状を伝えます
- 内部医師の診察:
- 留置場の嘱託医による診察を受けます。
- 留置場の嘱託医による診察は、概ね2週に1回となります。
- 外部病院への移送:
- 症状が重たい、または緊急を要すると留置担当官が判断した場合は、必要に応じて外部の医療機関に護送されます。
- 診断・処方:
- 医師の判断により適切な薬が処方されます
- 服薬管理:
- 処方された薬は留置担当官が管理し、定時に配布されます
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精神安定剤服用の体験談:精神安定剤と勾留生活
実業家の堀江貴文氏(ホリエモン)が勾留中に実際、精神安定剤を服用したという体験談をご紹介します。
ホリエモンの体験談
実業家のホリエモンこと堀江貴文氏は、勾留中の精神状態や精神安定剤の服用について、以下のように述べています:
ほとんどの人達が辛さを感じるとお思います。私もそれまで飲んだことがなかった精神安定剤であったりとか、睡眠薬というのを処方していただいて飲んでいました。そうでもしないと、頭がおかしくなってしまうと。僕はそれまで精神安定剤の類のものを飲んだことがなかったんですけれども、勾留されて初めて飲むにいたりました。
出典:ログミ―Bussiness 刑事訴訟法改正案・国会審議”「初めて精神安定剤を飲んだ」 堀江貴文氏が勾留中の心理状態を語る”
留置場生活では、多くの人が強いストレスにさらされます。堀江貴文氏(ホリエモン)の話は、リアルで生々しい体験談と言えるでしょう。
留置場での精神的ストレスと対処法
留置場での生活は、自由の制限や将来への不安など、様々な要因で精神的ストレスを感じやすい環境です。
精神安定剤に頼らずにストレスに対処する方法もあります。
留置場で生じる主な精神的ストレス
- 閉鎖環境によるストレス:
- 限られた空間での生活による圧迫感
- プライバシーの欠如:
- 常に監視されている状態
- 時間管理の喪失:
- 自分のペースで行動できない
- 社会的孤立:
- 家族や友人との接触制限
- 将来への不安:
- 裁判の行方や社会復帰への不安
薬に頼らない対処法
1. 呼吸法と瞑想
- 深呼吸:
- 4秒かけて吸い、7秒止め、8秒かけて吐く「4-7-8呼吸法」
- マインドフルネス:
- 今この瞬間に集中する練習
2. 運動
- 居室内でできる簡単なストレッチや筋トレ
- ラジオ体操や腕立て伏せ、その場でのジョギングなど
「留置場では朝に60分程度、部屋の中でできる筋トレやストレッチ、ウォーキングをしていました。それ以外の時間は時々マインドフルネスをしていました。限られたスペースでもできるし、運動や瞑想習慣のおかげで乱れがちな気持ちを落ち着けることができました。」(元被留置者Eさん)
3. 読書と創造的活動
- 読書:
- 集中力を高め、現実から一時的に離れる効果
- 創作活動:
- 手紙を書く、日記をつけるなど
4. 規則正しい生活習慣
- 食事:
- 提供される食事をしっかり食べる
- 自弁を頼む
- 睡眠:
- 決まった時間に休む習慣をつける
留置場に入ることは、多くの人にとって恐怖や不安を伴う出来事です。しかし、留置場でも何らかの「楽しみ」や「心の支え」を見つけることで、少しでも精神的な負担を軽減することが可能です。本記事では、留置場での生活における「楽しみ」の実態や、それをどう見つけるかについて詳しく解説します。
留置場にいる人は一体どのようなものを食べているのでしょうか?この記事では、気になる「留置場の食事」の実際について、経験者からのインタビューを通じて得た知見を含めたリアルな情報をお届けします。
家族ができるサポート
家族の精神的サポートは留置場にいる人にとって非常に重要です。特に服薬が必要な場合、家族ができる具体的なサポートをご紹介します。
薬の差し入れに関するサポート
- 必要書類の準備
- 処方箋のコピーを用意
- お薬手帳の準備
- 必要に応じて診断書の取得
- 薬の確認と準備
- 薬の名前、用量、服用方法を整理
- 包装や錠剤の説明書を揃える
- 留置場への連絡
- まずは電話で服薬状況を確認する。
- 必要に応じて、お薬手帳などを届ける
精神的サポート
- 面会での安心感の提供
- 定期的な面会
- 前向きな会話を心がける
- 手紙によるサポート
- 定期的な手紙の送付
- 日常の出来事や前向きな内容を書く
- 弁護士との連携
- 医療ニーズについて弁護士に伝える
- 必要に応じて弁護士から留置場への働きかけを依頼
「家族からの手紙が何よりの支えでした。特に日常のありきたりな話が、閉ざされた留置場の中で、外の雰囲気を感じられ、とても嬉しかったです」(元被留置者Rさん)
突然あなたの大切な家族が留置場に入ったと知らされた時、驚きと戸惑い、そして不安が一気に押し寄せてくることでしょう。 しかしながら、そう言う時ほどパニックにならず、適切な行動を取ることが大切です。 本記事では、家族が留置場に入った場合の対応方法について分かりやすく解説します。
よくある質問
Q1: 留置場で精神安定剤を新たに処方してもらうことは難しいですか?
A: 明らかな症状がある場合は比較的スムーズに処方されます。
ただし、軽度の不安や軽い不眠程度では処方されないことも多いです。
留置担当官や嘱託医に症状をはっきり伝え、必要であれば弁護士にも相談するとよいでしょう。
Q2: 精神安定剤の副作用で取調べに影響が出ることはありますか?
A: 眠気や集中力低下などの副作用が取調べに影響することはあります。
処方されたら医師や留置担当官、場合によっては弁護士に相談し、可能であれば取調べ前は服用を避けるなどの調整を検討しましょう。
弁護士から「取調べに支障がない薬にしてほしい」と要望することも可能です。
Q3: 留置場で依存性の高い精神安定剤(ベンゾジアゼピン系など)は継続できますか?
A: 依存性の高い薬剤については、嘱託医や護送先の病院の医師の判断によって継続が制限されるケースがあります。
代替薬への切り替えを提案されることもあるため、逮捕が予想されるのであれば、事前に主治医に留置場でも服用可能な薬(依存性の低い薬)への切り替えを相談しておくとよいでしょう。
Q4: 精神安定剤を服用していることで留置場内でのトラブルになることはありますか?
A: 基本的に精神安定剤の服用でトラブルになることはありません。
また、留置担当官から他の被留置者に情報を漏らすこともあありません(医療情報は守秘義務の対象となります)。
Q5: 精神安定剤を拒否することはできますか?
A: 処方された薬であっても、服用を拒否する権利はあります。
ただし、医師が強く服用を勧める場合もありますし、依存性の高い薬で服薬を急に中止することができないケースもあります。自己判断はやめた方がいいでしょう。
まとめ:留置場での精神安定剤使用と精神的健康
留置場での精神安定剤の使用は、必要な場合には認められていますが、いくつかの制約があります。
持病で服用している場合は継続したいことを、まずは逮捕時に刑事に伝えるところから始めましょう。
また、新たに症状が出た場合は適切に申告して診察を受けることが大切です。
精神的健康を維持するためには、薬だけでなく、規則正しい生活、適度な運動、呼吸法や瞑想、そして家族からのサポートなど、総合的なアプローチが効果的です。
留置場という特殊な環境の中でも、自分の健康を守るための権利はあります。必要なケアを受けながら、この困難な時期を乗り越えるための一助となれば幸いです。
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