急な逮捕で留置場で勾留された。
そんな時に頼れるのは弁護士だけです。
でも……
- 知っている弁護士がいない
- お金がない
- どんな弁護士がいいかわからない
そんな理由で困ってしまうことは容易に想像がつくのではないでしょうか?
そんな急な逮捕で留置場に入ってしまったあなたを救う制度が「当番弁護士」制度です。
今回は急な逮捕で留置場に勾留されて困っている被疑者を救う「当番弁護士」についてお話ししていきます。
当番弁護士制度とは?
当番弁護士制度とは各地の弁護士会が、逮捕され、留置場で勾留されることになった被疑者のため独自に作った制度です。
当番弁護士制度は、各地の弁護士会が運営主体となり、毎日担当の当番を決め、被疑者等からの依頼により、被疑者の留置・勾留されている場所に弁護士が出向き、無料で、接見の上、相談に応じる制度です。
出典:日本弁護士連合会「刑事弁護に関する制度のご紹介 刑事弁護における各制度」より引用
特に弁護士に知り合い等の伝手が無い時は非常に助かります。
なぜ当番弁護士が必要なのか? その理由と使い方
留置場で勾留された時に生じる5つの問題とは?
被疑者は、前触れなく急に逮捕され、覚悟もないまま留置場で拘束されます。その時に共通して抱える5つの問題を当番弁護士は解決してくれます。それぞれを見ていきましょう。
問題その1:知っている弁護士がいない! どうやって弁護士を探す?
急に逮捕・勾留されて不安な時に相談できる存在が弁護士です。
ですが、
- 伝手がない
- 連絡方法がわからない
と言う人も多くいます。
そんな時に頼れるのが「当番弁護士」です。
問題その2:取り調べや留置場での勾留についての不安
逮捕はある日突然されるものです。前触れは一切ありません。
急な逮捕で被疑者となると、刑事や検事から慣れない取り調べを受けるだけでなく、留置場での共同生活を強いられます。
多くの場合、「取り調べで話した内容は適切だったのか?」「これからどうなるのか?」等々、とても不安になります。
そんな時に被疑者の立場で相談やアドバイスをしてくれて、今後の展望についても話が出来る存在は弁護士しかいません。
「弁護士に伝手がない」「連絡の取り方がわからない」そんな人でもすぐに相談できる存在。
それが「当番弁護士」です。
問題その3:誰とも連絡を取ることができない
家族や職場との連絡
逮捕から72時間以内は外部との接触を完全に遮断されてしまいます。それがたとえ家族であったり、職場であっても連絡を取ることは許されません。
弁護士であれば、72時間以内であろうと被疑者と面会できますし、家族や職場への連絡を代行することが可能です。ですからなるべく早く弁護士と連絡を取る必要があります。
ですがすぐに対応してくれる弁護士に伝手のない人も多くいらっしゃいます。
そんな時に頼れる存在が「当番弁護士」です。
示談交渉
事件が起きて逮捕された。
示談が成立すればすぐに留置場から出ることができる。
そんなケースも多く見られます。
示談の成立は留置場での勾留そのものや、勾留後の起訴や裁判にも影響を与えます。
そのため、可能な限り早く示談交渉を始める必要があります。
「弁護士が用意できない」
「伝手が無い」
そんな時に駆けつけてくれて、示談交渉の窓口になってくれるのが「当番弁護士」です。
問題その4:お金がないと弁護士に相談(依頼)できない
弁護士への相談には通常相談料がかかります。
急な逮捕で手持ちがないというケースもあれば、そもそもお金が全くないという方もいます。
そのような方でも、「当番弁護士」との相談は初回「無料」で行えます。
家族や職場への伝言くらいなら普通に頼めます。
また、「引き続き弁護士を頼みたいけれど、お金がない」そんな時は、国の「国選弁護人」を利用することが出来ます。「当番弁護士」に「国選弁護人」について尋ねておくといいでしょう。
当番弁護士を呼びたいときはどうしたらいいの?
当番弁護士を呼べるのは、本人・家族・友人とされています。もし逮捕されてしまった場合は、刑事または留置場の担当者に当番弁護士との接見を希望すれば、連絡を取ってくれます。
当番弁護士は各地の弁護士会が窓口になっています。詳しくは日本弁護士連合会HPの「当番弁護士連絡先一覧」をご参照ください。
「当番弁護士」を利用できて本当に良かった! と言う生の声
留置場経験者から聞いた話の中で、「当番弁護士が来てくれて本当に良かった!」と言う話をしばしばお聞きします。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
当番弁護士が初期対応し、その後知り合いの弁護士に引き継いだ事例
逮捕されてすぐに刑事から「当番弁護士」の説明を受けて、連絡をお願いしました。連絡したその日のうちに「当番弁護士」が来てくれて、心配だった家族や職場への連絡をお願いすることが出来ました。その後は嫁の知り合いの弁護士が引き継いでくれることになりました。
引き継ぎもスムーズに行って頂けましたし、初回対応の費用は弁護士会で出してくれるとのことでした。「当番弁護士」のおかげで逮捕後、家族や職場への連絡等の初期対応を速やかに行うことが出来て、大きなトラブルになることを防げました。「当番弁護士」の先生もいい人でしたし、適切な初期対応をしてくれただけでなく、費用も弁護士会持ちでしてくれたとのことで、本当に有り難いと思いました。
知り合いがいなかったから、すぐ来てくれて相談に乗ってくれて助かった
逮捕されるなんて全く予想してなかったので、不安で動転していました。
あまり覚えていないのですが、刑事に促されてサインした書類の一つが「当番弁護士を読んでほしい」と言う申請書類だったと思います。
「当番弁護士」は逮捕されたその日にすぐ来てくれて、2時間も親身に話を聞いてくれました。いい先生でしたので、そのまま担当の弁護士になってもらいました。
逮捕されて不安が強い中で「すぐに来てくれたこと」「熱心に話を聞いてくれたこと」「職場への連絡を速やかに行ってくれたこと」は本当に心強かったです。
全く身に覚えのない逮捕で、どうしていいか分からない時に、適切なアドバイスをしてくれました
全く身に覚えのない容疑で逮捕されてしまいました。想定外で何を言っていいかわかりませんでした。
「当番弁護士」が呼べると聞いたので、とりあえず呼んでみました。僕の話に共感して、「それはおかしい」と言ってくれて、取り調べの時のアドバイスを来れました。心強く、不安が取れました。
彼女と職場への連絡もしてくれたので、本当に助かりました。
最終的には職場の社長が用意してくれた弁護士に切り替えましたが、後日差し入れもしてくれましたし、本当にいい先生が「当番弁護士」で来てくれて有り難かったです。
まとめ
逮捕は前触れなくされるものです。外部から遮断され、取り調べを受け、留置場で勾留される。
そんな不安な中で被疑者を助けてくれる存在が「当番弁護士」です。
もしも、あなたやあなたの大切な人が逮捕され、弁護士に伝手がないようでしたら、「当番弁護士制度」を利用してください。
きっとあなたの助けとなるはずです。