
留置場に勾留されている間、多くの人が抱える現実的な問題の一つが「家賃の支払い」です。
突然の逮捕で準備もなく留置場に入ることになった場合、家賃の支払いが滞ることで住居を失うリスクも出てきます。
本記事では、留置場での勾留中に家賃をどう支払うべきか、支払えない場合はどうなるのか、そして利用できる支援制度などについて詳しく解説していきます。
留置場での勾留と家賃問題の基礎知識
留置場とは?
留置場とは、逮捕された後に勾留される施設で、警察署内に設置されています。
刑事裁判の判決が出るまでの一時的な拘束施設です。
「留置場って一体どんなところ?」 「警察署にあるって本当?」 「怖い人がいるの?」 「刑務所と何が違うの?」 逮捕された場合、最初に身柄を拘束される場所である留置場について、疑問や不安を持っている方も多いことでしょう。 この記事では、「留置場」とは何かについて、徹底的に解説していきます。 場所、環境、生活、刑務所や拘置所との違い、よくある疑問などを網羅的に解説することで、あなたの不安を解消していきます。
勾留期間はどのくらい?
一般的な勾留期間は最初の10日間と、さらに延長される場合は10日間の計20日間程度です。
しかし、事件の内容や複雑さによっては、複数回の再逮捕や勾留延長があり、勾留期間が数ヶ月〜1年以上になることもあります。
勾留は、刑事手続きにおいて重要な役割を果たす措置のことです。 本記事では、勾留の基本的な概念から、その目的、手続き、期間、そして解放までの流れを詳しく解説していきます。 ご家族様や知人が勾留された方、また法律に興味がある方にとって、有益な情報を提供していきます。
なぜ家賃の支払いが問題になるのか?
留置場に勾留されると、外部との接触が制限されます。その結果、銀行やATMの利用も不可能となってしまいます。
そして勾留が長期に渡ると、収入が途絶えてしまうことも多く、想定外に長期の勾留となった場合は特に家賃の滞納による住居喪失リスクが高まります。
住居を失うことは、釈放後の社会復帰を著しく困難にし、再犯リスクも高めることが知られています。
留置場に勾留中の家賃支払い方法
1. 家族や知人に支払いを依頼する
最も一般的な対応方法は、家族や信頼できる友人に家賃支払いを代行してもらうことです。
具体的な手順:
- 留置場での面会時や手紙、弁護士を通じて状況を説明し、家賃支払いの代行を依頼する
- 必要な情報(不動産屋の名前または家主の連絡先、わかるときは口座情報、家賃額、支払い期日など)を伝える
- ATMカードや現金の保管場所を伝え、アクセス方法を共有する
留置場での面会時間や面会方法に関する基本情報を詳しく解説していきます。具体的には、留置所の面会時間の詳細・面会に持っていった方が良い持ち物・面会が可能な人の条件について触れていきます。さらに、特別なケースや注意点も取り上げ、スムーズに面会を行うためのアドバイスもご紹介する予定です。この情報をご覧になって頂くことで、留置場での面会を安心して行えるようになって頂けると幸いです。
2. 弁護士を通じた支払い手続き
弁護士に依頼して、勾留中の財産管理や家賃支払いの手続きを行ってもらうことも可能です。
メリット:
- 法的な助言も同時に受けられる
- 家族に負担をかけたくない場合に有効
- プライバシーが保護される
初めて逮捕されてしまった時に大きな不安と混乱に襲われるのは当然のことです。 これからどうなるの? 誰に相談すればいいの? このような疑問が頭をよぎるでしょう。 特に初めて逮捕された時に、弁護士をどう選ぶべきか混乱したという話をよく聞きます。弁護士の選び方や活用法は、逮捕され留置場で勾留されている被疑者にとって、今後の状況を大きく左右するため慎重に検討する必要があります。 この記事では、初めて逮捕された方向けに「弁護士の選び方」「知っておくべきポイ
3. 自動引き落としや口座振替の設定
事前に口座振替や自動引き落としの設定をしておくことで、勾留中でも家賃支払いが自動的に行われます。
ただし、口座残高が不足すると引き落としができなくなるため注意が必要です。
4. 大家や不動産会社との交渉
状況によっては、大家や不動産会社に弁護士や家族、知人から連絡を取ってもらい、支払い猶予や分割支払いの相談をお願いすることも検討しましょう。
家賃が支払えない場合の対処法
家賃滞納によって起こり得ること
家賃を滞納すると、以下のような事態が発生する可能性があります:
- 督促状や催告書の送付:最初は書面による支払い催促が行われます
- 遅延損害金の発生:契約内容によりますが、多くの場合、年14.6%程度の遅延損害金が発生します
- 保証会社による立て替え払い:家賃保証会社と契約している場合、一時的に立て替え払いされますが、後日求償されます
- 契約解除の通知:通常、2〜3ヶ月の滞納で契約解除の通知が行われることがあります
- 強制退去:最終的には裁判所の手続きを経て、強制退去となる場合があります
対処法
- 早めに相談する:家族や弁護士を通じて、大家や不動産会社に状況を説明し、支払い猶予などの相談をしましょう
- 分割払いの交渉:一括での支払いが難しい場合は、分割払いの提案も検討する価値があります
- 家賃保証会社の活用:保証会社に連絡し、一時的な立て替え払いの可能性を確認しましょう
- 住居の解約:長期勾留が予想される場合は、荷物を整理して住居を解約するという選択肢も考慮すべきです
利用できる支援制度や相談窓口
生活保護制度
勾留中に生活保護の申請はできません。ただし、定まった居住地があるなどの一定の条件を満たせば、釈放後に生活保護を申請できます。生活保護が受けられれば、上限はありますが、家賃補助(住宅扶助金)が受けられます。
生活保護を受給していた場合は、逮捕・勾留中は生活保護資格が停止されるため、家賃補助(住宅扶助金)は受けられません。ただし、釈放後に再申請することは可能です
注意点:
- 逮捕前に受給していた場合、役所への連絡が必要です
- 生活保護を受給するためには、定まった住所地が必要です。釈放まで退去にならないように弁護士や家族を通じて交渉しましょう。
住宅セーフティネット制度
国や地方自治体による支援制度として、低所得者向けの家賃補助や債務保証料補助があります。
ただし、この制度は主に再犯防止や社会復帰支援を目的としているため、逮捕・勾留だけでは利用できないケースもあるようです。
長期勾留における住居対策
荷物の整理と住居の解約
勾留が長期化する見込みの場合は、家賃を払い続けるよりも、荷物を整理して住居を解約するほうが経済的な場合があります。
その場合の手順:
- 家族や信頼できる知人に荷物の整理を依頼する
- 貴重品や必要な物品は保管を依頼する
- 不要なものは処分するか寄付する
- 退去手続きを行い、敷金の返還を受ける
トランクルームの活用
すべての荷物を処分したくない場合は、トランクルームの利用も検討しましょう。
月額5,000円程度から利用可能な施設も多く、家賃よりも大幅に安く済みます。
家族・知人ができるサポート
具体的なサポート方法
- 家賃支払いの代行:本人の口座から引き出すか、立て替えて後で精算する方法があります
- 大家や不動産会社との交渉:状況を説明し、理解を求める
- 郵便物の確認:重要な通知や督促状を確認する
- 住居の状態確認:定期的に訪問して問題がないか確認する
- 必要書類の準備:釈放後の住居確保に必要な書類を準備する
委任状の作成
家族が本人に代わって手続きを行う場合、委任状があると円滑に進めることができます。面会時に作成してもらうか、弁護士に相談して正式な委任状を準備しましょう。
出所後の住居問題と再犯防止
住居喪失と再犯リスクの関係
研究によれば、出所後に安定した住居を確保できない人は、再犯率が2〜3倍高いことが示されています。
住居は単なる「住む場所」ではなく、社会復帰の基盤となる重要な要素です。
よくある質問と回答
Q1: 留置場に勾留されると、大家や会社には何か通知がありますか?
A1: 警察や検察から大家や会社に直接通知がいくことはありません。長期勾留となる場合は、弁護士や家族を通じて状況を伝えておくことをお勧めします。
Q2: 家賃を滞納して強制退去となった場合、荷物はどうなりますか?
A2: 法的手続きを経て強制退去となった場合、残された荷物は一時的に保管されますが、撤去料や保管料が発生することがあります。また、一定期間経過後は処分される可能性もあります。家族を通じて早めに荷物を回収することが望ましいです。
Q3: 勾留中に生活保護は受けられますか?
A3: 新規での申請はできません。既に受給していた場合は生活保護資格が停止になりますが、出所後に再申請することが可能です。
Q4: 釈放後、家賃の滞納履歴があると新しい住居を借りるのは難しいですか?
A4: 賃貸契約の際に家賃滞納歴がチェックされることがあり、不利になる可能性はあります。しかし、保証会社の利用や保証人不要物件の選択、NPO等の支援を受けることで住居確保は可能です。
Q5: 住居を失った場合、釈放されないことはありますか?
A5: 勾留期間が終わり、不起訴となり釈放となった場合は住居は問われません。ただし、起訴された場合は「帰住先(きじゅうさき)」がないことを理由に保釈が認められません。起訴・判決後、刑務所に入った後は、自立準備ホームや更生保護施設の利用が検討できます。
まとめ
留置場での勾留中における家賃問題は、本人だけでなく家族にとっても大きな不安要素です。
逮捕・勾留中に家賃問題を放置すると滞納額が増えたり強制退去につながるリスクがあります。以下のポイントを押さえて早めに対応しましょう:
- 家族や弁護士と連携して支払い手続きを進める。
- 長期勾留の場合は契約解約を検討する。
- 公的支援制度について相談する。
これらの対策を講じることで、逮捕・勾留中でも住居問題を最小限に抑えることが可能です。
本記事でお話しした、「留置場」と「家賃」の問題は、刑事司法制度の中でも特に見落とされがちな課題ですが、社会復帰と再犯防止において非常に重要な要素です。適切な情報と支援があれば、この困難を乗り越え、新たな出発を切ることができます。
何か疑問や不安があれば、弁護士や支援団体に相談することをお勧めします。一人で抱え込まず、必要な支援を求めることが問題解決の第一歩です。
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