酔っ払いは留置場(留置所)に入る? 保護から収容までの流れと実態

酔っ払った状態で警察に連れて行かれると、留置場(留置所)に入るのか、それとも別の場所で一晩を過ごすのか気になる方も多いでしょう。

この記事では、酔っ払いが留置場(留置所)に入るケースやその流れ、保護室(トラ箱)との違いなどについて詳しく解説します。

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A. 酔っ払いは留置場(留置所)に入るの?

酔っ払って通報されたらどうなる?

泥酔して路上で寝込んでしまったり、周囲に迷惑をかけるような行動を取った場合、通報されることがあります。その際、警察がどのように対応するのかを解説します。

  • 軽度の酔い:警察が保護します。すぐに酔いが軽くなるのであれば、保護室に入ることなく解放されます。
  • 泥酔して動けなくい場合(急性アルコール中毒が疑われる場合):医療機関に搬送されることが多い
  • 周囲に迷惑をかけている場合:警察署の「保護室」に入れられる可能性がある

ただし、以下のように事件性がある場合は逮捕されることがあります。

事件性がある場合:留置場(留置所)に入る可能性がある

  • 器物損壊などを伴う場合
    • 酔っ払った状態で物を壊したりした場合は逮捕され、留置場(留置所)に収容される可能性があります。
  • 痴漢や窃盗、不同意性交などの刑事事件
    • 酔った勢いで以下のような犯罪を犯した場合も同様に逮捕され、留置場(留置所)行きとなります。
      • 傷害罪
      • 暴行罪
      • 傷害致死罪
      • 痴漢
      • 不同意わいせつ罪
      • 不同意性交等罪
  • 公務執行妨害:酔った勢いで警察官に暴言を吐いたり、暴力を振るった場合は「公務執行妨害」や「暴行罪」で逮捕される可能性があります。

飲酒運転で逮捕された場合

飲酒運転をした場合、即逮捕され、留置場(留置所)に入る可能性があります。

  • 検挙後の流れ:警察署で取り調べ → 留置場(留置所)で勾留
  • 勾留期間:最大23日間(裁判所の判断による)

👉 詳しくはこちら >> 飲酒運転で留置場行きはあり得る? 逮捕後の流れと勾留期間、飲酒運転のリスクを徹底解説

事件性がない場合:留置場(留置所)ではなく保護室に入る可能性がある。

  • 泥酔して迷惑行為をした場合(事件性がない)
    「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」に基づき、一時的に警察署内の保護室(トラ箱)で保護されることがあります。
    • トラ箱の由来:酒に酔っている人のことを「トラ」と言うため。酒酔い状態の人を預かる部屋なので、「トラ部屋」呼ばれるようになった。
  • 単なる泥酔で身元がはっきりしていて、危険がない場合
    身元引受人がすぐに迎えに来られる場合は、書類作成後に釈放されます。

B. 保護室(トラ箱)と留置場(留置所)の違い

項目保護室(トラ箱)留置場(留置所)
目的泥酔者や危険な状態の人を一時的に保護刑事事件の被疑者を収容
収容対象泥酔者、精神錯乱者など刑事事件で逮捕された被疑者
期間酔いが覚めるまで(数時間~1日程度)最長23日間(勾留期間含む)
管理者警察署警察署(法務省管轄ではない)
設備簡素な部屋(ベッドやマットレスあり)鉄格子付きの居室

C. 酔っ払いが留置場(留置所)に入るまでの流れ

  1. 現場で通報・警察官による対応
    • 酔っ払って暴力や迷惑行為をした場合、警察官が現場に到着し状況確認を行います。
    • 暴力行為や器物損壊など事件性が認められる場合は、その場で逮捕されます。
  2. 保護または逮捕
    • 事件性なしの場合:泥酔状態で危険があると判断された場合は、一時的に保護室へ。
    • 事件性ありの場合:逮捕後、警察署内の留置場(留置所)へ移送されます。
  3. 身元引受人による釈放
    • 軽微な迷惑行為の場合は、身元引受人が到着し書類作成後に釈放されます。

D. 留置場(留置所)での生活:酔っ払い(泥酔)が元で罪を犯した場合

  1. 通報
    • 酔った勢いで、暴行や痴漢など、刑事罰の対象になる犯罪を犯してしまい、警察に通報される。
  2. 逮捕
    • 逮捕され、警察署に連行されます。
    • 急性アルコール中毒などが疑われる場合は、先に救急車対応になる場合があります。
  3. 取り調べ
    • 酩酊(泥酔)状態であってもある程度の取り調べはされます。
  4. 酔いが覚めた後
    • ある程度酔いが覚めたら、留置場(留置所)にて勾留されます。
    • 酔いが覚めた後は、通常の被留置者と同じ扱いになります。
    • 留置場(留置所)では基本的に規則正しい生活が求められます。

E. 面会・差し入れ

  • 逮捕から72時間は弁護士以外の外部の人間との接触は完全に遮断されます。
    • 弁護士は例外ですので、ご家族や知人の状況は弁護士を通じて確認しましょう。
    • 逮捕された、ご家族や知人と会うことは出来ませんが、差し入れをすることは逮捕後72時間以内であっても可能です。
  • 逮捕後72時間を過ぎて、留置場(留置所)での10日間の勾留が決定した後は、家族や知人との面会も可能となります。
    • ただし、接見禁止措置が取られる場合もあります。その場合は、接見禁止の一部除外を受けた人しか面会や手紙のやりとりはできません。
    • 接見禁止で会えなくても、差し入れは可能です。

F. 酔っ払い(酒酔い)による刑事事件例

  1. 暴行罪
    • 酔った勢いで暴行を加え、傷害に至らなかった(怪我がなかった)場合は暴行罪となり、逮捕・勾留される可能性があります。暴行罪は下記のようなケースで適応されます。
      • 殴ったり蹴ったりして怪我がなかった時
      • 服を引っ張った時
      • 毛髪を根本から切る
      • 唾を吐きかけたり、塩をかけたりする
      • 石を投げつける
      • 威嚇の目的で包丁や日本刀を振り回す
    • 暴行罪の刑罰:2年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
    • 示談で即釈放や不起訴、減刑できる可能性が高いです。
  2. 傷害罪
    • 酔った勢いで暴行を加え、怪我を負わせてしまった場合、傷害罪となります。
    • 傷害罪の刑罰:15年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
    • 示談で不起訴や減刑できる可能性があります。即釈放される可能性もあります。
  3. 傷害致死罪
    • 酔った勢いで殴る・蹴るなどの暴行を加えた結果、それが原因となって死亡した場合は傷害致死罪となります。
    • 傷害致死罪の刑罰:3年以上の懲役と定められています。有期刑の上限が20年であるため、実質、懲役3年〜20年となります。
    • 示談できる可能性は非常に低いです。示談できたとしても非常に高額になる可能性が高いです。ですが、示談できると減刑される可能性が高まります。
  4. 痴漢
    • 酔った勢いで痴漢行為をしてしまった場合、迷惑防止条例違反で逮捕されます。
    • 痴漢の刑罰:6ヶ月以下の懲役または50万円いかの罰金となり、常習者は1年以下の懲役または100万円いかの罰金となります(東京都の例。各都道府県で異なります)。
    • 示談が成立すれば、ほとんどが即釈放かつ不起訴になります。
  5. 不同意わいせつ罪
    • 酔った勢いで、相手の同意なくわいせつな行為をおこなった時に不同意わいせつ罪になります。無理やりや突然、という場合だけでなく、アルコールで相手を酔わせたりした場合でも不同意わいせつ罪となります。
    • 不同意わいせつ罪の刑罰:6ヶ月以上10年以下の懲役となります。
    • 示談で不起訴や減刑できる可能性があります。即釈放される可能性もあります。
  6. 不同意性交等罰
    • 酔った勢いで、同意なく(同意や抵抗ができない状況も含む)性交を行った時に不同意性交等罪になります。
    • 不同意性交等罪の刑罰:5年以上20年以下の懲役となります。
    • 示談で不起訴や減刑できる可能性があります。
  7. 公務執行妨害罪
    • 職務中の警察官に対して暴言を吐いたり、暴力を振るった場合、公務執行妨害罪が適用されます。
    • 公務執行妨害罪の刑罰:3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
    • 公務執行妨害そのものについての示談は出来ません。暴行・傷害罪や、器物破損などの余罪がある場合は、示談でき、量刑に影響する可能性があります。

F. 家族や知人へのアドバイス

保護室に入っている時

  1. 落ち着いて状況確認をする
    • 酔っ払って(泥酔して)しまい、保護室に入っていて連絡先がすぐにわかる場合は、警察から連絡が入ります。
    • 驚いて慌ててしまいそうになると思いますが、落ち着いて状況を確認しましょう。
  2. 身元引受人として対応
    • 軽微な迷惑行為の場合は保護室に入れられています。
    • 身元引受人として迎えに行くことで早期釈放が可能です。
  3. 迎えに行く、または酔いが覚めて出てくるのを待つ
    • 迎えに行けるようなら、身元引き受け人として迎えに行ってあげましょう。
    • 難しいようなら、酔いが覚めて出てくるのを待ちましょう。

留置場(留置所)に入っている時

  1. 落ち着いて状況を確認する
    • 酔っ払った(泥酔した)勢いで、何らかの罪を犯してしまい、逮捕された場合は、警察から連絡が来ることはありません。
    • その場合は、逮捕されたご家族や知人に依頼された弁護士から連絡が入ります。
    • とても驚くと思いますが、落ち着いて状況を確認しましょう。少なくとも以下の情報を確認してください。
      • 容疑
      • 勾留されている警察署
      • 本人の状況
      • 弁護士の連絡先・氏名
  2. 弁護士への相談
    • 今後の見通しや対応については弁護士と相談しましょう。

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まとめ:酔っ払いでもケースによって対応は異なる

泥酔しているだけの場合は保護室(トラ箱)で一晩過ごすケースが多いですが、事件性がある場合には逮捕されて留置場(留置所)へ収容される可能性があります。

家族や知人としては状況を正確に把握し、適切な対応を取ることが重要です。

不安な点があれば弁護士への相談も検討してください。

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