勾留とは? 逮捕後の流れや期間、勾留の意味を徹底解説!

「勾留(こうりゅう)」という言葉を耳にしたことはあっても、その意味や仕組みについて詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

勾留は、刑事手続きにおいて重要な役割を果たす措置のことです。

本記事では、勾留の基本的な概念から、その目的、手続き、期間、そして解放までの流れを詳しく解説していきます。

ご家族様や知人が勾留された方、また法律に興味がある方にとって、有益な情報を提供していきます。

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勾留とは? その定義と目的

勾留とは、逮捕された被疑者身体の自由を一時的に施設内に拘束する強制処分のことです。逮捕後、検察官が必要と判断した場合に裁判所の許可を得て行われる措置で、捜査や裁判に必要な期間、留置場拘置所に収容することを指します。

主な目的は以下の通りです:

  1. 逃亡の防止
  2. 証拠隠滅の防止
  3. 捜査・公判の円滑な進行

勾留は刑罰ではなく、あくまでも刑事手続きの一環として行われる措置です。

勾留と逮捕の違い

多くの人が「逮捕」と「勾留」の違いを曖昧に理解しているようです。逮捕と勾留は、どちらも身柄を拘束する措置ですが、以下の点で大きく異なります:

項目逮捕勾留
主体主に警察官検察官の請求に基づき裁判官が決定
期間最大72時間最長23日間(逮捕期間含む)
場所主に警察署警察署の留置施設や拘置所
  • 逮捕:逮捕は捜査の初期段階で行われ、警察が被疑者の身柄を一時的に拘束するものであり、最長48時間しか続きません。ですから、比較的短期間の身柄拘束のことを言います。具体的には、犯罪の疑いがある被疑者を捜査するために、一時的(48時間以内)に身柄を拘束する手続きのことを言います。
  • 勾留:一方で、勾留はより長期的な拘束を可能にします。具体的には逮捕された被疑者を、勾留は裁判所の決定により、最長20日間(10日+延長10日)拘束する措置のことを言い、捜査や裁判に必要な期間、継続的に身柄を拘束する手続きのことを言います。

勾留と逮捕は、どちらも被疑者の身体の自由を拘束する点では共通していますが、目的法的根拠が異なります。

勾留の要件

勾留は、以下の3つの要件を満たす場合に限り、裁判官によって認められます。

  1. 被疑者が罪を犯した疑いが相当であること
  2. 被疑者が逃亡するおそれがあること
  3. 被疑者が証拠を隠滅するおそれがあること

勾留の流れと手続き

  1. 逮捕:警察官が被疑者を逮捕します。
  2. 送致:逮捕後48時間以内に、警察官が被疑者を検察に事件を送致します。
  3. 勾留請求:検察官は24時間以内に勾留請求を行うか釈放を決定します。勾留請求する場合は、裁判官に被疑者の勾留を請求します。
  4. 勾留決定:裁判官が勾留の是非を判断します(被疑者の意見聴取あり)。要件を満たすと判断した場合、勾留が決定します。
  5. 勾留:被疑者が留置場に収容されます。

勾留の期間とその延長

勾留の基本期間は10日間ですが、検察官が必要と判断し、裁判所が認めた場合は最長10日間の延長が可能です。つまり、最長20日間(逮捕後23日間)勾留される可能性があります。

しかし、重大事件(殺人、強盗、組織犯罪など)では、特別な手続きを経て勾留がさらに長期間に及ぶ場合もあります。

まとめると以下のようになります:

  • 検察に送致された日より10日間の勾留となります。
  • 検察官の請求により最大10日間の延長可能されます。
    • 裁判官が勾留延長の是非を判断します。ただし、運用上ほとんどの場合、検察官の請求が認められます。
  • 合計で最長20日間(逮捕期間と合わせて最長23日間)勾留されます。

万が一、起訴された後は被告人勾留となり、原則2ヶ月ごとに更新されます。

👉 詳しくはこちら >> 未決勾留とは? 留置場での未決勾留日数の計算・既決との違いを徹底解説

勾留場所はどこ? 刑務所との違い

勾留場所は、基本的に警察署の「留置場」または「拘置所」です。

  1. 留置場(警察署内):警察署内にあり、逮捕直後から勾留中の被疑者が収容される施設です。
  2. 拘置所(法務省管轄):法務省管轄の施設で、主に起訴後の被告人や死刑囚が収容される施設です。

刑務所と異なり、勾留中の被疑者や被告人は、まだ刑が確定していない状態のため、「未決囚」として扱われます。そのため、刑務所の受刑者とは異なり、一定の権利(弁護士との接見、差し入れの受け取りなど)が保障されています。

起訴前は主に留置場、起訴後は拘置所に移送されることが多いです。

👉 詳しくはこちら >> 留置場と拘置所の違いを徹底比較|場所・目的・生活環境・面会まで解説

勾留中の生活

勾留中、日常生活を送るうえで、様々な制約を受けることになります。

  • 外部との連絡:外部との連絡は、大幅に制限されます。外部との接触は、弁護士との接見、面会や手紙(接見禁止されていない者に限る)に限られます。
  • 面会:1日1回15〜20分に限られます。また接見禁止がついていないことが条件となります。なお、弁護士は無制限で接見できます。
  • 行動:基本的に留置場の居室から出ることはできません。留置場内も留置担当官(看守のようなもの。担当さん)や、監視カメラにて監視されているため、大幅に自由が制限されています。
  • プライバシー:常に監視されているため、プライバシーは、十分に確保されません。

勾留からの解放(釈放)される方法

勾留からの解放(釈放)には以下の方法があります:

  1. 不起訴処分:検察官が起訴しないと判断した時点で解放(釈放)されます。
  2. 勾留取消し:示談が成立するなどして、裁判所が勾留の必要性がないと判断すれば解放(釈放)されます。
  3. 保釈(起訴後のみ):裁判所が保釈を認め、定められた保釈金を納付することにより、解放(釈放)されます。
  4. 勾留期間満了:勾留期間が満了し、起訴されなければ解放(釈放)されます。

👉 詳しくはこちら >> 起訴後の勾留と保釈制度:被告人勾留の期間と釈放の可能性を徹底解説

勾留を回避する方法はあるのか?

弁護士に早期に依頼する

当番弁護士制度などを活用し、早めに法的対応をとることが大切です。

身元引き受け人を確保する

家族や雇用主などの身元保証があれば、釈放されやすくなります。

勾留を防ぐためにできること

  • 逃亡の意思がないことを示す
  • 家族や職場の保証を得る
  • 弁護士を通じて釈放請求を行う

弁護士による準抗告・勾留理由開示請求などを行う

勾留による身柄拘束を解く方法として、下記のような請求を出すことが可能です。

  • 準抗告:裁判官の勾留決定に不服を申し立てるもの。認められれば勾留が取り消され、釈放されます。
  • 勾留理由開示請求:勾留が適切かどうかを公開の場で確認するものです。
  • 勾留取消請求:勾留の要件が無くなったので、勾留を取り消してもらうように裁判所に請求するものです。
  • 勾留執行停止の申立:被疑者に特殊な事情が発生したときに裁判所に対して請求するものです。具体的には、身内の葬儀に出る、重病で留置場生活に耐えうる状況ではなく病院に入院しなくてはならない、そのような時に請求するものです。

いずれも弁護士を通じて出す必要があります。

保釈申請を行う(起訴後)

起訴後は保釈制度を利用できます。起訴前との釈放の違いは下記の通りです。

勾留は刑罰なのか?

勾留は刑罰ではなく、刑事手続き上の身柄拘束措置です。

そのため、被疑者は「無罪推定の原則」により、罪が確定するまでは犯罪者として扱われません。

しかし、実際には勾留中の生活は厳しく、長期間の身柄拘束が精神的・肉体的に大きな負担となることは否定できません。

勾留中の生活について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

勾留と拘留の違い

「勾留」と「拘留」は、読み方意味が似ていますが、法的な意味合いは異なります。

  • 勾留:被疑者・被告人の身柄拘束(刑事手続き)
  • 拘留:1日以上30日未満の自由刑(刑罰の一種)

勾留に関するQ&A

  • Q:勾留されたら刑務所に入るのですか?
    • A:いいえ、勾留は刑罰ではありません。刑務所に入るのは、裁判で有罪判決が確定した後です。
  • Q:勾留されたら弁護士に相談できますか?
    • A:はい、勾留されたら弁護士に相談する権利があります。
  • Q:弁護士の知り合いがいないのですが、どうしたらいいですか?
  • A:勾留後、弁護士の知り合いがいない場合、まずは「当番弁護士制度」を使うことをオススメします。初回無料で相談に乗ってくれます。
  • Q:勾留期間中に釈放されることはありますか?
    • A:はい、勾留期間中でも、勾留の理由がなくなった場合には、釈放されることがあります。

まとめ

勾留とは、逮捕後に逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われる身柄拘束措置であり、刑罰ではありません。

しかし、最大20日間に及ぶ拘束や、生活の厳しさから、多くの人にとって大きな負担となります。

勾留中の生活や法律的対応について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。


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