留置場と拘置所の違いを徹底比較|場所・目的・生活環境・面会まで解説

「逮捕されたら留置場?拘置所?一体何が違うの?」刑事ドラマなどで名前を聞くことはあっても、留置場と拘置所の違いを明確に理解している方は少ないかもしれません。

逮捕後の身柄拘束場所として、両者は混同されがちですが、管轄、目的、生活環境など、様々な点で違いがあります。

この記事では、気になる留置場と拘置所の違いを徹底的に比較解説していきます。

留置場とは? 警察が管理する一時的な拘束場所

留置場は、警察署などの警察施設に併設された施設で、主に逮捕後、起訴されるまでの被疑者を一時的に拘束する場所です。

  • 管轄: 警察
  • 目的: 被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぎ、円滑な捜査を行うこと
  • 対象者: 逮捕された被疑者(容疑者)のうち、勾留状が出ている者
  • 期間: 原則として最長23日間(逮捕から勾留請求、勾留決定までの最大期間)

留置場は、あくまで捜査段階における一時的な身柄拘束場所であり、刑罰を執行する場所ではありません。

👉詳しくはこちら >> 留置場とは? 知っておきたい基本情報と疑問を徹底解説

拘置所とは? 法務省が管理する未決拘禁者の収容施設

拘置所は、法務省の管轄下にある施設で、主に起訴後、裁判が確定するまでの被告人を収容する場所です。また、死刑確定者も収容されています。

  • 管轄: 法務省(矯正管区)
  • 目的: 未決拘禁者(被告人)の身柄拘束、裁判の円滑な進行
  • 対象者: 起訴された被告人、死刑確定者
  • 期間: 裁判が確定するまで(未決勾留期間)、裁判終了後に刑務所に移送されるまでの期間(既決)、死刑執行まで

拘置所は、裁判手続き中の身柄拘束を目的としており、刑罰を執行する刑務所とは異なります。

留置場と拘置所の違いを徹底比較

一覧表で比較してみる

留置場と拘置所の違いを、様々な角度から比較します。

項目留置場拘置所
管轄警察法務省(矯正管区)
目的被疑者の身柄拘束、捜査未決拘禁者の身柄拘束、裁判の円滑な進行。
対象者逮捕後の被疑者
起訴前後の短期間の勾留者
起訴された被告人
控訴・上告中の被告人
死刑確定者
期間原則最長23日間裁判が確定するまで、判決後刑務所に行くまで、死刑執行まで
部屋個室または複数人部屋(原則複数人部屋)個室または複数人部屋(原則複数人部屋)
生活環境比較的簡素な設備、警察官による監視ある程度自由な時間がある、刑務官による管理
食事警察署で用意された食事拘置所内で調理された食事
面会弁護士以外の面会は制限あり(1日1回、1回15〜20分まで。監視付き)未決期間は留置場とほぼ同じ(死刑囚も同様)。
既決の場合は、刑務所と同じ
作業基本的に作業はない未決:基本的に作業はない(死刑囚も同様)
既決:作業あり(刑務所と同じ)
外部との連絡電話・スマホは使えない。手紙は1日1回まで未決(死刑囚含む):留置場と同じ
既決:刑務所と同じ
弁護士との接見自由に接見可能未決:自由に接見可能
既決:刑務所と同じ

施設数の違いを見てみる

全国における施設数にも大きな差があります。

  • 留置場:全国に約1,300カ所
  • 拘置所:全国に8カ所(ただし、拘置支所を含めると119カ所)

このため、拘置所は満室傾向が強く、本来裁判所で勾留が判断されてから起訴までの勾留は拘置所とされていますが、現実的には留置場で勾留されることになります。

施設の目的の違いを知る

両施設の目的にも違いがあります。

  • 留置場:主に身柄拘束と取り調べのため
  • 拘置所:主に裁判を待つ被告人の収容のため

留置場は捜査のための施設という側面が強いのに対し、拘置所は純粋に被告人を収容するための施設です。

逮捕から拘置所へ移送される流れ

逮捕されてから拘置所に移送されるまでの流れは以下の通りです。

  1. 逮捕: 警察に逮捕される。
  2. 送検: 検察官に身柄が送られる。
  3. 勾留請求: 検察官が裁判所に勾留を請求する。
  4. 勾留決定: 裁判官が勾留を決定する(最長20日間、延長の場合は最大23日間)。この期間、留置場に拘束される。
  5. 起訴: 検察官が裁判所に起訴する。
  6. 拘置所へ移送: 起訴後、約10日ほどで拘置所に移送される。

つまり、逮捕直後は留置場に拘束され、起訴後10日前後で拘置所へ移送されるのが一般的な流れです。

👉詳しくはこちら >> 逮捕から逮捕後、留置場に入るまでの流れを詳しく解説

留置場と拘置所の待遇の違い

上記比較表に記載の通り、様々な点で待遇に違いがあります。また、既決と未決(控訴・上告中の被告人も含む)との待遇の違いも明確です。

留置場と拘置所、両方での勾留経験者からの話では、未決であれば、留置場よりも拘置所の方が比較的自由度が高いと言います。

食事つにいては、留置場はお弁当なのに対し、拘置所で食事を作っているため、留置場よりも拘置所の食事の方が美味しいと言う人が多いです。

既決になると、拘置所の生活は刑務所同等のものになります。その場合は、留置場よりも大変なものとなるでしょう。

👉留置場での生活についてはこちら>>留置場に入るとどうなる? 一日の流れを紹介

留置場と拘置所の違いを正しく理解しよう

この記事では、留置場と拘置所の違いについて徹底的に解説しました。両者は管轄、目的、対象者、生活環境など、様々な点で異なります。逮捕後の流れや各施設の役割を正しく理解することで、不安を軽減し、適切な対応を取ることができるでしょう。