未決勾留とは? 留置場での未決勾留日数の計算・既決との違いを徹底解説
  • 「家族が留置場にいるけど、未決勾留って何?」
  • 「未決勾留の日数ってどうやって数えるの?」
  • 「そもそも未決ってどういう意味?」
  • 「未決と既決ってどう違うの?」

などなど…

刑事事件の手続きの中でよく耳にする「未決」「勾留」という言葉ですが、その意味や関係性を正しく理解している人は少ないかもしれません。

この記事では、未決勾留の意味、日数計算、既決との違い、勾留場所などについて徹底解説します。

「未決」とは? 「既決」との違い

まず、「未決」という言葉の意味を明確にしましょう。「未決」とは、裁判が確定していない状態、つまり有罪か無罪かが決まっていない状態を指します。反対に、裁判が確定し、刑が確定した状態を「既決」と言います。

  • 未決: 裁判が確定していない状態(有罪か無罪かが決まっていない)。刑罰が確定していないため、未決中は「推定無罪」の原則が適用されます。
  • 既決: 裁判が確定し、刑が確定した状態。

つまり、逮捕・勾留されている段階は、まだ裁判が行われていないため、「未決」の状態です。

未決勾留とは? 意味と目的

「未決勾留」とは、起訴(検察官が裁判所に刑事裁判を求めること)された後、裁判が確定するまでの間、被告人の身柄を拘束することを言います。目的は、被告人の逃亡や証拠隠滅を防ぎ、裁判を円滑に進めることです。

  • 目的: 被告人の逃亡防止、証拠隠滅防止、裁判の円滑な進行。
  • 期間: 刑事訴訟法では2ヶ月間とされていますが、裁判所の判断により1ヶ月ごとに更新され、判決確定まで続く場合が多いです。

未決勾留される場所:留置場? 拘置所? 刑務所?

未決勾留される場所は、原則として「拘置所」です。しかし、拘置所の収容能力には限りがあるため、警察署の「留置場」で勾留されることも認められています。

  • 原則:拘置所。
  • 例外:留置場。
  • 現実的運用:現実的には、起訴後10日ほど留置場にいて、その後拘置所に移送されることが多い

つまり、未決勾留であっても、留置場に勾留されます。現実的には、起訴後10日間ほど留置場にいて、その後拘置所に移送されることが多いです。

👉拘置所と留置場の違いについて:詳しくはこちら >> 留置場と拘置所の違いを徹底比較|場所・目的・生活環境・面会まで解説

留置場における未決勾留:生活と過ごし方

留置場における未決勾留中の生活は、逮捕後の勾留と大きく変わりません。

未決勾留日数の計算方法について

計算前に押さえておくこと

未決勾留についてはまず、以下の2点を押さえておかなければなりません。

  1. 裁判官の裁量による:未決勾留日数は必ず算入されるわけではなく、裁判官の自由な裁量に任されています。
  2. 計算基準がある:起訴後の勾留日数のうち、裁判準備のために通常必要とされる期間を超えた日数のみをカウントします。
  3. 起訴後の日数が基準になる:起訴される前の勾留日数はカウントされません。

未決勾留日数の計算例

未決勾留日数は、「起訴された日から判決確定日までの日数」と、「裁判準備に通常必要とされる日数」とを用いて計算されます。

以下二つの日にちを基準として使います。

  • 起訴日:検察官が裁判所に起訴状を提出した日。
  • 判決確定日:裁判の判決が確定した日。
  • 初回公判までに必要とされる日数:30日
  • 2回目以降の公判までに必要とされる日数:10日

▶︎ 未決勾留日数の計算式について

起訴後の勾留日数から初回公判に必要な準備日数30日と、初回以降の公判に必要な日数10日間を引いたものが、未決勾留日数となります。

起訴後の勾留日数―((30日+10日×(初回以降の公判回数−1))

例えば、起訴日が4月1日で、判決確定日が6月30日だった場合、通算すると91日の勾留期間となります。公判は第3回まであったとすると、準備期間は50日必要だったとされます。91日間の勾留期間から50日の準備期間を引いた41日が未決勾留日数となります。

(30日+31日+30日)―((30日+10日×(初回以降の公判2回―1))= 41日間の未決勾留日数

なぜ未決勾留日数を把握する必要があるのか?

未決勾留日数は、あくまで裁判官の裁量に委ねられていますが、刑期に算入される場合があります。

  • 刑期への算入:刑法第21条により、未決勾留日数の全部または一部が刑期に算入されることがあります。

(未決勾こう留日数の本刑算入)
第二十一条 未決勾こう留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる。

出典:G-GOV法令検索 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十一条

刑期から未決勾留日数分を減らせられるので、その分、実質的な減刑とも言えます。

そのため、未決勾留日数を把握することは、刑期を計算する上で重要な情報となります。

弁護士への相談:未決勾留に関する疑問を解消

未決勾留に関しては、裁判官の裁量に委ねられており、算入が期待できるのか、計算通りに算入されるのかなどについては弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士は、被疑者の状況に合わせて適切な情報提供やアドバイスをしてくれることでしょう。

弁護士の選び方について:詳しくはこちら >>

まとめ:未決勾留について正しく理解しましょう

この記事では、未決勾留の意味、日数計算、既決との違い、勾留場所などについて解説しました。

未決勾留は、裁判が確定するまでの間、被告人の身柄を拘束する手続きであり、留置場で行われる場合もあります。

未決勾留について疑問や不安があれば、弁護士に相談することをお勧めします。