- 「留置場って一体どんなところ?」
- 「警察署にあるって本当?」
- 「怖い人がいるの?」
- 「刑務所と何が違うの?」
逮捕された場合、最初に身柄を拘束される場所である留置場について、疑問や不安を持っている方も多いことでしょう。
この記事では、「留置場」とは何かについて、徹底的に解説していきます。
場所、環境、生活、刑務所や拘置所との違い、よくある疑問などを網羅的に解説することで、あなたの不安を解消していきます。
留置場とは?基本情報
留置場(りゅうちじょう)とは、警察署などの警察施設に併設されている施設で、逮捕後、警察が刑事事件の被疑者の身柄を一時的に拘束するための施設です。
実質、起訴されるまでの被疑者を一時的に拘束しています。
主な目的は、被疑者の逃走や証拠隠滅を防ぐことです。
留置場の目的
留置場の主な目的は以下の通りです:
- 被疑者の逃走防止
逮捕された被疑者が逃げ出すことを防ぎます。 - 証拠隠滅の防止
被疑者が事件に関する証拠を隠したり破壊したりすることを防ぎます。 - 取り調べや捜査の実施
警察が被疑者に対して取り調べを行い、事件の捜査を進めるための場所として機能します。 - 身柄の確保
逮捕から検察官への身柄引き渡しまでの間、被疑者を安全に拘束しておくための施設です。 - 検察官の証拠検証期間中の拘束
警察から送られてきた証拠を検察官が検証している間、被疑者を留め置く役割も果たします。
留置場は、刑事司法手続きの初期段階で重要な役割を果たす施設であり、捜査や公判準備のために被疑者の身柄を確保することが主な目的となっています。
留置場・拘置所・刑務所との違い
留置場
- 警察が管轄する施設で、全国約1,300ヵ所に設置されています。
- 主に逮捕直後の被疑者を収容し、取り調べや捜査のために使用されます。
- 逃走や証拠隠滅を防ぐことが主な目的です。
- 収容期間は比較的短く、通常は逮捕から起訴までの期間です。
- 施設内は日常生活を送るための基本的な設備が整っています。
拘置所
- 法務省が管轄する刑事施設で、全国8ヵ所に設置されています。
- 主に未決拘禁者(起訴された被告人)を収容します。
- 裁判が確定するまでの間、被告人を収容する施設です。
- 裁判確定後も、刑務所に移送されるまでの間は拘置所にいることになります。
刑務所
- 法務省が管轄する刑事施設です。
- 懲役や禁錮の刑が確定した受刑者を収容する施設です。
- 刑の執行を目的とし、受刑者の更生や社会復帰のためのプログラムが実施されます。
これらの施設は、刑事司法手続きの異なる段階で使用され、それぞれの目的に応じた管理体制と設備を有しています。
留置場の設置場所
留置場は主に以下の場所に設置されています:
- 警察署内:留置場は警察署内に設置されています。
- 都道府県警察本部:都道府県警察本部にも留置場が設置されています。
- 全国規模:留置場は全国約1,300ヵ所に設置されています。
留置場は警察の管理下にあり、主に逮捕直後から起訴までの被疑者を収容する施設です。
一方、拘置所は法務省の管轄下にあり、起訴後の被告人や死刑確定囚などを収容する施設です。
留置場は拘置所に比べて数が多く、各地域の警察署に設置されているため、被疑者の身柄拘束に広く利用されています。
留置場の対象者
留置場には主に以下の対象者が収容されます:
- 逮捕された者
逮捕された人が留置場に収容されます。 - 勾留された被疑者
逮捕後、裁判官の勾留決定を受けた被疑者が収容されます。
留置場は警察署内に設置された一時的な収容施設であり、主に捜査段階の被疑者を収容します。
逮捕から起訴までの期間、多くの被疑者が留置場で過ごすことになります。
なお、受刑者や死刑確定者は通常、留置場ではなく刑務所や拘置所に収容されます。
留置場で勾留される期間
留置場での勾留期間は以下のようになります:
- 被疑者勾留の場合
- 原則として10日間
- やむを得ない事由がある場合、最大10日間の延長が可能
- 延長された場合、最長で20日間
- 逮捕から勾留までの流れ
- 逮捕後72時間以内に勾留請求
- 勾留請求が認められると、原則10日間の勾留
- 延長を含めると、逮捕から最大23日間の身体拘束が可能
- 被告人勾留の場合
- 起訴後は原則2か月間
- さらに延長される可能性もある
なお、勾留場所は被疑者の場合、実務上9割以上が警察署の留置場となります。起訴後は通常、拘置所に移されますが、状況によっては引き続き留置場に留め置かれることもあります。
- 目的: 被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぎ、円滑な捜査を行うこと。
- 場所: 各都道府県の警察署、または警察本部などに設置されています。
- 対象者: 逮捕された被疑者(容疑者)のうち、勾留状が出ている者。
- 期間: 原則として最長23日間(逮捕から勾留請求、勾留決定までの最大期間)。
「留置所」という言葉も耳にするかもしれませんが、正式名称は「留置場」です。
留置場はどんなところ?
留置場の特徴
- 警察署内に設置されている
- 人目につきにくい場所に隔離されていることが多い
留置場の環境について
留置場の環境は以下のような特徴があります:
- 居室の広さと収容人数
- 個室もあるが主に雑居房で生活します。
- 一般的に8~10畳程度の広さです。
- 定員は1部屋4〜6名程度です。
- 1人あたりの広さは雑居の場合2.5平方メートル(1.5畳弱)、個室の場合4平方メートル(2畳弱)の広さがあります。
👉詳しくはこちら >> 留置場の部屋はどんな作りなの? その実際を解説!
- 設備
- 畳またはカーペットが敷かれています。
- 机、椅子、棚などの家具はありません。
- トイレは壁で囲まれたボックス型で室内に設置されていて、外から中の様子がわかるように、窓が設置されています。
- 冷暖房はフロア全体に設置されているが、各部屋にはありません。そのため、快適な温度を保つのが難しいこともあります。
- セキュリティ
- ドアや窓は鉄格子で頑丈に作られています
- 脱走防止や自殺防止のための設計がされています
👉詳しくはこちら >> 留置場の部屋のドアや窓の構造はどうなっているの?
- 生活環境
- 掃除の時間が日課で設けられていて、毎日収容者自身が掃除を行います。
- 入浴は冬は週1回、夏は週2回程度です。
- 就寝時も明かりが付けられたままです。一応、夜間は減光されますが、人によっては明るくて眠れないと感じることもあります。
👉詳しくはこちら >> 留置場のお風呂事情:どんな構造で、どのように入浴できるのか徹底解説!
- 衣服
- スウェットやジャージが貸与されます。
- 留置番号が書かれたサンダルを履きます。
- 洗濯は週1回あります。
- 衣服や下着は差し入れをしてもらうと良いでしょう。
留置場の環境は決して快適とは言えませんが、以前のような「ブタ箱」と呼ばれるような劣悪な環境ではなくなっています。
しかし、狭い空間で他の被疑者と共同生活を送ることは、精神的にはかなり辛い経験となる可能性があります。
留置場の雰囲気について
留置場の雰囲気は、以下のような特徴があります:
- 緊張感:留置場は犯罪の疑いをかけられた人々が集まる場所であるため、ある程度の緊張感が全体的に漂っています。被疑者同士や警察官との関係も、警戒心のあるものになります。
- 閉塞感:限られた空間に多くの人が収容されるため、物理的な閉塞感が強いです。特に雑居房では、他の被疑者と密接に過ごすことになり、プライバシーがほとんどありません。
- 孤独感:留置場にいる人々は、外界との接触が制限されているため、孤独を感じやすい環境です。特に長期にわたる勾留の場合、この孤独感は精神的なストレスとなります。
- 規律とルール:留置場内では厳格なルールが存在し、それに従わなければならないため、自由度は非常に低いです。日常生活のすべてが監視されており、行動には制約があります。
- 多様な背景の人々:留置場には様々な犯罪歴や背景を持つ人々が集まります。そのため、会話や相互作用には多様性がありますが、時にはトラブルや対立も生じることがあります。
- 静けさと騒音:時間帯によっては静かな環境ですが、他の被疑者の話し声や騒音が響くこともあります。このような音の中で過ごすことは、精神的な負担となることがあります。
留置場の雰囲気は、個々の経験や状況によって異なるものの、一般的にはある程度の緊張感がある環境と言えるでしょう。
留置場の1日の流れ
留置場では、日常生活が規則正しく管理されています。起床時間、食事時間、運動時間などが決められており、基本的には以下のような流れになります:
- 起床: 午前6時30分
- 朝食: 午前7時00分
- 運動: 午前8時30分
- 昼食: 正午
- 夕食: 午後5時
- 就寝: 午後9時
留置場における人権の配慮
留置場における人権の配慮については、以下のような取り組みが行われています。
その1:捜査と留置の分離
留置施設では、被留置者の人権を保障するため、「捜査と留置の分離」の原則が徹底されています。これは、自白強要等の違法な捜査やえん罪を防止するために重要な措置です。
- 目的:自白強要等の違法な捜査や、えん罪の防止を目的としています。
- 法的根拠:刑事収容施設法第16条第3項で「留置担当官は、その留置施設に留置されている被留置者に係る犯罪の捜査に従事してはならない」と規定されています。
- 具体的措置:
- 留置開始時に、処遇に関することはすべて留置担当官が行い、捜査員は関与しないことを被留置者に告知します。
- 取調べ等の捜査活動はすべて留置施設の外で行われます。
- 取り調べをするに当たっては、留置主任官の許可が必要です。
- 取り調べに当たっては、留置場での日課(食事や就寝など)を尊重することが求められています。
- 食事の提供は留置場で行われます。取り調べ室で食事が提供されることはありません。
👉詳しくはこちら >> 取り調べ中に食事は出る?カツ丼は本当?取り調べと食事の真実 - 捜査員の留置施設への入場は固く禁止されています。
- 組織的分離:留置業務の主管は捜査を担当しない総務(警務)部門が担当しています。
- 国際的要請:国際人権法上も、捜査機関と被留置者の処遇を担当する機関の明確な分離が求められています。
この「捜査と留置の分離」原則により、被留置者の処遇が捜査・取調べから不当な影響を受けることを防ぎ、人権保障の強化を図っています。
その2:処遇の適正化
被留置者の処遇については、以下のような配慮がなされています:
- 食事の提供、差し入れ・面会・信書の取り扱い等の日常生活に関する事項は留置担当官が行う
- 被留置者の身体検査・所持品の保管、護送も留置担当官が担当
- 日課の時間割を尊重し、捜査による不当な干渉を防ぐ
その3:外部チェック機能
刑事収容施設法によって、部外の第三者から成る「留置施設視察委員会」が警察本部に設置されており、都道府県公安委員会が任命した弁護士等の法律関係者や医師、地域の住民等から成る10名以内の委員で構成されています。留置施設の運営状況を視察し、意見を述べることで、人権配慮に関するチェック機能を強化しています。警察本部長は、委員会からの意見と警察が講じた措置の概要を公表することが義務付けられており、留置場の待遇改善や人権への配慮の進展が期待できます。
その4:国際基準への対応
国際人権法上も、捜査機関と被留置者の処遇を担当する機関の明確な分離が求められており、日本の留置施設もこの基準に沿った運営を目指しているとされています。
しかし、一方で人権侵害の事例も報告されており、例えば戒具や保護房の不適切な使用などの問題が指摘されています。
このような事例に対しては、適切な対応と改善が求められています。
留置場における人権配慮は継続的な課題であり、法律の遵守と適切な運用、そして外部からのチェック機能の強化が重要です。
👉日本の司法(警察・検察・裁判所)や留置場・拘置所・刑務所について学びたいなら:詳しくはこちら
よくある疑問と回答
Q1:留置場と留置所、どちらが正しい?
A1:正式名称は「留置場」です。「留置所」と表記されることもありますが、正確には「留置場」が正しい呼び方です。
Q2:留置場はどんなところ?
A2:留置場は警察署内にある一時的な収容施設です。外出は基本的に認められず、警察の取り調べを受けることになります。
Q3:刑務所や拘置所との違いは?
A3:主な違いは以下の通りです:
- 留置場:警察管轄、逮捕直後の被疑者が収容される
- 拘置所:法務省管轄、裁判中の未決囚が収容される
- 刑務所:法務省管轄、実刑判決を受けた受刑者が収容される
詳しくは「留置場とは? 刑務所との違いを解説」をご覧ください。
Q4:留置場に入る理由は?
A4:主に以下の理由で留置場に入ることになります:
- 逮捕された直後
- 勾留が決定した場合
Q5:留置場での生活はどんな感じ?
A5:留置場での生活には様々な制限があります。食事、入浴、運動など、日常生活のあらゆる面で制限を受けます。
Q6:留置場には刑務作業はあるの?
A6:留置場には刑務作業はありません。
刑務作業は刑が確定した受刑者が刑務所で行うものです。
Q7:留置場にいる人はどんな犯罪を犯しているの?
A7:留置場には様々な罪で逮捕された被疑者が収容されます。軽微な犯罪から重大犯罪まで、幅広い犯罪の被疑者が収容される可能性があります。
👉詳しくはこちら >> 「留置場で勾留されている人はどのような罪で囚われているの?」
Q8:留置場の中に怖い人はいる?
A8:他の被留置者とのトラブルは可能性としてあります。
👉詳しくはこちら>>留置場で喧嘩ってあるの? 留置場内の実情とトラブルについて解説
Q9:臭い飯なの?
A9:食事は警察署で用意されたもので、栄養バランスにも配慮しているとされています。
Q10:精神的に辛い?
A10:長期間の勾留は精神的なストレスの原因となります。
👉詳しくはこちら>>留置場での精神的ストレスの原因と解消法|元被留置者から聞いた具体的な対策
Q11:面会はできる?
A11:
- 逮捕後72時間以内ではないこと
- 接見禁止がついていないこと
これらの条件付きで、家族や友人等との面会が1日1回、認められています。
👉詳しくはこちら>>【留置場での面会】基本知識と注意点を徹底解説
Q12:差し入れはできる?
A12:差し入れは認められていますが、持ち込めるものには制限があります。
Q13:弁護士には会える?
A13:弁護士との接見は自由に行えます。
👉詳しくはこちら>>逮捕されてすぐに弁護士は頼めるの? 弁護士依頼のタイミングと方法を徹底解説
まとめ
留置場は、逮捕された被疑者が一時的に収容される施設です。
刑務所や拘置所とは異なり、警察の管轄下にある施設であり、主に捜査のために被疑者の身柄を確保する目的で使用されます。留置場での生活には多くの制限がありますが、
被疑者の権利も法律で保護されています。もし自分や家族が留置場に入ることになった場合は、冷静に対応し、必要に応じて弁護士に相談することをおすすめします。
留置場に関する詳細な情報や具体的な対応方法については、本サイトの関連記事もぜひご覧ください。