突然あなたの大切な家族が留置場に入ったと知らされた時、驚きと戸惑い、そして不安が一気に押し寄せてくることでしょう。
しかしながら、そう言う時ほどパニックにならず、適切な行動を取ることが大切です。
本記事では、家族が留置場に入った場合の対応方法について分かりやすく解説します。
家族が留置場に入ってしまった時の最初の対応
「家族が留置場に入っている」その連絡を最初にしてくれたのはきっと弁護士からだったでしょう。
丸一日連絡が取れなくて心配だったところに、弁護士からの連絡が来た。あなたの心の中に「驚き」「不安」「戸惑い」が一気に襲ってきたことと思います。
まず重要なのは、「冷静になること」です。
「勾留されている家族」もきっとあなたと同じように不安なはずです。もしもあなたが感情に流されて不適切な行動を取ってしまったら、家族を助けるどころか、状況を悪化させてしまうかもしれません。
とても辛いことと思います。でも、不安な気持ちをグッと堪えてください。
あなたが家族のために取るべき行動、取って喜ばれる行動をまとめました。
ご参考になさってください。
■ 最初に知っておくこと
逮捕から72時間は、ご家族であろうとも、面会や手紙、差し入れなど、外部との接触全てが禁じられます。
ご家族との連絡は弁護士を通じて行うしか方法はありません。
そしてご家族からの連絡も弁護士を通じてしか行えません。
だから「ご家族様が逮捕された」という連絡を弁護士があなたにしてきたのです。
弁護士を通じてしか連絡が取れない、逮捕後72時間の間にすべきことは下記の通りです。
■ 事実確認を行う
連絡してきた弁護士に確認すること
- どの警察署に留置されているのか?
- 何が原因で逮捕されたのか?
- 被害者はいるのか?
- 今後の見通しはどうなるのか?
- ご家族様の状況は?(体調や精神状況は?)
- 現金は持っているか?
これらの情報を連絡してきた弁護士に確認して、正確に状況を把握しましょう。
■ 弁護士を決める
知らない弁護士から連絡が来たケースから話をしていきましょう。「当番弁護士」が留置場で勾留されているご家族様の依頼で、あなたに連絡をしてきたのでしょう。
「当番弁護士」とは各地の弁護士会が運用しているものです。
当番弁護士制度は、各地の弁護士会が運営主体となり、毎日担当の当番を決め、被疑者等からの依頼により、被疑者の留置・勾留されている場所に弁護士が出向き、無料で、接見の上、相談に応じる制度です。
出典:日本弁護士連合会 刑事弁護における各制度
本記事では「当番弁護士」についての詳細は述べませんが、「当番弁護士」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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話を戻します。
もし、その「当番弁護士」が信頼できそうな人であれば、そのまま弁護をお願いしてください。
もしもあなたに弁護士の知り合いがいて、その方のほうが信頼できそうなのであれば、知り合いの弁護士に声をかけてください。
ご家族様とあなたとの接点は、逮捕から72時間は完全に遮断されます。弁護士はあなたとご家族様との連絡を仲介してくれるだけでなく、ご家族様を守ってくれる働きをしてくれるのは唯一弁護士だけです。
ですから、なるべく信頼できる弁護士に頼む必要があります。
今の話をまとめます。以下の二つの選択肢の中から方針を決めてください。
- 「当番弁護士にそのまま弁護をお願いする」
- 「知り合いの弁護士に弁護をお願いする」
方針が決まった上で、次に進みましょう。
家族が留置場に入った場合の基本的な流れ
家族が逮捕された後の一般的な流れを理解しておくことで、今後の行動を計画的に進められます。
① 逮捕
逮捕されると、警察は48時間以内に検察官に送致します。この間、家族と連絡を取ることや差し入れはできません。※弁護士を通じて連絡や差し入れすることは可能
逮捕までの流れ〜逮捕後の流れを詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
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② 勾留
検察官が必要と判断した場合、24時間以内に裁判所に勾留請求されます。裁判所で勾留判断されるまでの72時間は家族との連絡や差し入れはできません。※弁護士を通じて連絡や差し入れすることは可能
検察から出された勾留請求を裁判所が認めた場合、10日間の勾留が認められます(最大20日間まで延長可能)。この期間中は留置場に勾留され、取り調べが進められます。
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③ 起訴または釈放
10日間または20日間の捜査の結果、起訴される場合もあれば、釈放される場合もあります。
留置場にいる家族を支えるための具体的な行動
■ 弁護士と連携する
弁護士は家族を助ける上で欠かせない存在です。弁護士を選ぶ際のポイントは以下の通り:
- 刑事事件に精通しているか?
- 過去の実績があるか?
- 家族や被疑者、場合によっては被害者とのコミュニケーションが円滑に取れるか?
- そもそもあなた自身が信用できる弁護士かどうか
弁護士との連絡を密に取り、今後の見通しや必要な手続きを確認しましょう。
■ 差し入れを準備する
留置場では、生活必需品を差し入れることが可能です。
※逮捕から72時間以内は弁護士しか差し入れは出来ません。
差し入れは平日に限られます。
郵送等で土日祝日に差し入れたものは、平日に被疑者に差し入れられます。
差し入れについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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差し入れできるもの
差し入れできるものとして、具体的には、以下のような物品が挙げられます。
- 書籍や雑誌、漫画など
- 文房具(便箋やノート、レポートパッドなど。ボールペンは不可)
- 衣類
ボタン・チャック・パーカー不可。
乾燥機を使うため、プリントのTシャツは不向き。
紐付きのズボンの場合は紐を抜いた上で、紐を通す穴を縫って、塞いでおく必要がある。 - 下着や靴下
ボタン付きのパンツは不可。靴下はロングソックスは不可。くるぶしまでのものに限る - 現金(概ね3万円以内)
差し入れが認められる物品は場所によって異なるため、事前に確認が必要です。
差し入れの方法
逮捕後72時間以内
弁護士を通じて差し入れを行います。
※逮捕後72時間以内は、差し入れ出来ないため。
勾留決定後
以下の方法で差し入れが可能です。
留置場の受付に差し入れる
差し入れを留置場の受付に持って行くと受領してくれます。検品の上、問題なければご家族様に差し入れてくれます。接見禁止で無ければ、面会に合わせて差し入れするものを持っていくと良いでしょう。
郵送する
レターパックなどで留置場宛に郵送します。Amazonで留置場に直送するケースもしばしば見られます。郵送する際は、事前に留置場に連絡しておくと間違いがありません。
レターパックなどの郵送方法はこちらの記事を参考にしてください!
留置場における手紙は、留置場で拘束されている方との数少ないコミュニケーション手段です。 この記事では「留置場」に送る「手紙」に関する基本的な書き方や注意点について詳しく解説していきます。
■ 差し入れすると喜ばれやすいオススメ一覧
衣服
- 無地のTシャツ3枚
- スウェット上下2セット
※無地のもの・パーカー不可
※ズボンの紐は抜いておく。紐を通していた穴は縫って塞ぐ。
下着
- 靴下(くるぶしまでのもの)3セット
- パンツ(トランクスやボクサータイプ)3枚
- ハンカチ(15センチ×15センチ以内の小さいもの)3枚
文房具
- 便箋 1セット
※留置場内でも購入できるため、持っている可能性がある。 - 封筒 5枚
※留置場内でも購入できるため、持っている可能性がある。 - レポートパッド 1セット
- 110円切手 5〜10枚
書籍
書籍の中身をチェックしてから差し入れるため、平日かつ1日3冊までと制限しているケースが多いです。
書籍の中身チェックについては、書籍の内容のチェックもさることながら、書籍の中に暗号文や伝言などが記載されていることもあり得るためチェックします。
3冊以上差し入れた場合は、内容のチェック後、平日に1日3冊ずつ被疑者に差し入れてくれます。
- 小説
ご本人様の好みがはっきりしていれば、そのジャンルや作者を優先して持っていく。
好みがはっきりない時は、サスペンス物など夢中にさせる展開のものを差し入れる。
バッドエンドは気分が落ち込むことがあるので、特別バッドエンド好きでない限り。差し入れは控える。
留置場内では部屋に持ち込める書籍数に限度があるため、漫画より小説の方が好まれやすい。 - 漫画
普段読んでいるものが好ましい。
ジャンプなどの週間紙を普段読んでいる人なら、週刊紙の差し入れは喜ばれやすい。 - 雑誌
普段読んでいるものを差し入れる。
アダルトな雑誌でも差し入れることができる。 - 意外と喜ばれたもの
ニュートンなどの雑学系雑誌
各地の特徴が書いてある地図
■ 面会を申し込む(勾留決定後)
逮捕後72時間を超え、勾留が決定した後は面会が可能になります。
※ただし、接見禁止がついている場合は面会が出来ないことがあります。その時は、あなたの面会を許可してもらえるように、弁護士を通じて接見禁止の一部解除を申請してもらいましょう。
留置場での面会は、ご家族様にとって非常に重要なコミュニケーション手段です。
面会については以下の手順を参考にしてください:
- 留置場のある警察署に問い合わせる。
取り調べや地検等に行く日を避けるため。予定が分かる前日または当日に問い合わせる。 - 面会可能な時間を確認する。
※平日の10時〜17時、1日1回15〜20分の面会としている留置場が多い。 - 身分証明書を持参し、所定の手続きを行う。
面会では、なるべく普段通りに接しましょう。あなたの普段の姿がご家族様の大きな力になります。
面会で気がついたことや心配なことは、弁護士と連携することが大切です。
面会についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!
留置場での面会時間や面会方法に関する基本情報を詳しく解説していきます。具体的には、留置所の面会時間の詳細・面会に持っていった方が良い持ち物・面会が可能な人の条件について触れていきます。さらに、特別なケースや注意点も取り上げ、スムーズに面会を行うためのアドバイスもご紹介する予定です。この情報をご覧になって頂くことで、留置場での面会を安心して行えるようになって頂けると幸いです。
留置場に関するよくある疑問
Q1. 少しでも減刑したい、または家族が無実だと信じている。そのような場合はどうすればいい?
取り調べ等に関して出来ることは限られています。
ですから、まずは弁護士選びがとても重要になります。
刑事事件に精通していて信頼できる弁護士を選任することが大切です。
無実を証明するにも、減刑を狙うにしても、取り調べ対策だけでなく、日々取り調べや留置場での勾留で強いストレスにさらされている、ご家族様へのストレスケアがとても大切です。ストレスに負けて正常な判断が出来なくなることもあり得ます。ですから、弁護士にはこまめな接見をお願いしつつ、あなたも出来る限り面会や手紙を通じて、ご家族様の力となってあげてください。
何よりもあなたが冷静に普段の生活を継続していること、手紙や面会を通じて、ご家族様を信じている気持ちをしっかりとご家族様に伝えること、それらが何よりも大きな力となります。
Q2. 面会が許可されない場合は?
一番多いケースとしては、裁判所から外部との「接見禁止」がついている場合です。その場合は、弁護士を通じて接見禁止の除外をしてもらうように請求してもらってください。解除されるケースも多いです。
また、面会希望時に取り調べを受けていたり、地検に行っていたりすると面会が出来ません。面会前に留置場に電話で確認しておくと無駄足にならずに済みます。
また、被疑者が面会を希望しない場合に面会が拒否されることがあります。
Q3. 留置場に収容されている期間はどのくらい?
基本的には最大20日間(逮捕から通算23日間)の勾留期間が認められています。起訴された場合は、起訴後勾留があり、さらに勾留されることがあります。起訴されなかった場合は、釈放になります。場合によっては早期に釈放されることもありえます。
なるべく早期に釈放されるように、弁護士との連携を取っていきましょう。
家族を支える心構え
家族が留置場に入るという事態は、感情的にも負担が大きいものです。しかし、支える側としての心構えを持つことで、状況を前向きに乗り越えることができます。
■ 冷静さを保つ
感情的にならず、状況を客観的に把握する努力をしましょう。
■ 自分の生活も大切にする
家族を支えるためには、支える側の健康や生活も大切です。無理をせず、自分をケアする時間を持ちましょう。
意外に思うかもしれませんが、留置場経験者からのヒアリングでは、「普段の生活をしている」という話を聞くととても安心するそうです。
普段の生活をして、手紙や面会を通じて、普段の話をしてあげるようにしましょう。
■ 専門家の力を借りる
一人で全てを背負い込まず、弁護士や友人、支援団体の助けを求めることも重要です。
まとめ
家族が留置場に入ったという状況は、誰にとっても心が揺れる経験です。
しかし、適切な対応を取ることで、事態を最小限に抑えることができます。
本記事で紹介した方法を参考に、まずは冷静に事実を確認し、弁護士と共に必要な手続きや対応をしましょう。
ご参考になれば幸いです!