「留置場」という言葉を耳にしたとき、あなたはどのようなイメージを持ちますか?
「刑務所」とはどう違うのか疑問に感じたことはありませんか?
留置場と刑務所はその役割や目的が大きく異なります。
本記事では
『留置場とは何か』
『刑務所とどのような違いがあるのか』
それぞれの役割や目的からその違いを説明していきます。
さらに、留置場に関連する基本知識や法的な背景、生活環境についても触れていきますね!
留置場とは? その役割と目的
留置場の定義
留置場は、警察署に併設された施設で、逮捕された被疑者(犯罪の嫌疑をかけられた人)が勾留される場所です。主に捜査や取り調べが行われる期間中に一時的に収容されるため、一時的な施設とされています。
法律上では、刑事訴訟法に基づいて運営されており、逮捕後の48時間以内に身柄を送検(検察に送る)されるまで、あるいは裁判所が決定する勾留期間中に使用されます。
留置場の役割
留置場の主な役割は以下の通りです:
- 取り調べのための勾留:被疑者の取り調べや証拠収集のために一時的に拘束する。
- 被疑者の身柄保全:逃走や証拠隠滅を防止するため。
- 裁判所への送致準備:検察や裁判所に身柄を移す前の滞在場所。
刑務所との違い
違いを簡単に説明
- 留置場:犯罪が疑われる被疑者が裁判前に拘束される場所。
- 刑務所:裁判で有罪判決を受けた受刑者が刑罰を執行される場所。
比較表で見る留置場と刑務所の違い
項目 | 留置場 | 刑務所 |
対象者 | 被疑者(容疑者、逮捕後の人) | 有罪判決を受けた受刑者 |
設置場所 | 各警察署内 | 法務省管轄下の専門施設 |
運営者 | 警察 | 法務省 |
目的 | 捜査のため | 刑罰の執行、社会復帰プログラムの実施 |
期間 | 短期(逮捕から最大23日) | 長期(数か月から数年、場合によっては終身刑) |
生活環境 | 必要最低限の設備、面会や差し入れに制限あり 留置場で取り扱っているものは、自由に購入可能 | 更生のための施設、作業や教育プログラム有り ランクにより面会や購入品の制限が変わる |
留置場の生活環境とは?
留置場の設備
留置場は、長期間の収容を想定していないことが建前ではあるが、容疑によっては1年以上の勾留もあり得るため、生活するための必要最低限の設備が備えられています。
- 部屋:鉄格子のついた小部屋で、概ね6畳ほどの中に2〜4人程度で共同生活をします。自殺防止のため凹凸のない作りになっています。
- 寝具:セミシングルの敷布団と毛布2枚が就寝時に提供されます。就寝時間以外は布団置き場に収納するため、日中毛布や布団を使うことは出来ません。
- トイレ:壁で囲む形で、室内に設置されています。自殺防止等管理上の観点から、留置場担当者が外から確認できるように窓が複数設置されています。
- 風呂:共同浴場。脱衣場と浴場。銭湯のような作りで、湯船は数人が入れる大きなものを使用している。脱走防止のため出入り口は頑丈な金属扉で出来ています。
留置場の部屋の実際について知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
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3-2. 食事
留置場での食事は1日3回提供されます。食費は無料です。
主菜1232kcal、副菜998kcaln合計2232kcalを基準として栄養バランスを考慮して提供されています。
留置場に厨房施設はなく、お弁当やパンが提供されます。お弁当についてはコンビニ弁当を簡素にしたイメージのものが多く、実際のお弁当を見たら質素に感じる方が多いでしょう。
留置場にいる人は一体どのようなものを食べているのでしょうか?この記事では、気になる「留置場の食事」の実際について、経験者からのインタビューを通じて得た知見を含めたリアルな情報をお届けします。
買い物
留置場では自分でお金を払うことによって、便箋やハンカチなどの日用品の購入や外部の弁当を頼むことが出来ます。
外部で購入できるお弁当やお菓子のことを「自弁」と言い、頼める内容は各警察署毎に異なります。「自弁」として唐揚げ弁当やトンカツ弁当などのお弁当や、どら焼きなどのお菓子を頼める警察署が多いようです。
ルールと制限
- 面会:
弁護士は24時間接見可能です。弁護士以外の一般人の面会は、逮捕から72時間以内は制限されて出来ません。
72時間以降であっても容疑によっては「外部との接見禁止」となり、面会ができないことがあります。 - 面会時間:
平日の10時〜16時、面会時間は15分〜20分に制限され、面会時には警察官が立ち会います。(警察署により異なる。弁護士は24時間面会可能。時間制限なし) - 外部との連絡:
基本的に部屋の外に出ることはできないため、外部との連絡は遮断されます。
携帯電話やパソコンなどは没収され、電話をかけることや伝言を頼むことはできません。伝言を頼みたい場合は、弁護士を通じて行います。
手紙のやり取りは可能ですが、内容については検閲が入ります。また、接見禁止がついている場合は、禁止されている相手との手紙のやり取りはできません。 - 持ち込み物:
基本的に生活必需品以外は持ち込みできません。 - 買い物:
留置場で取り扱っている物品は購入可能です。ただし、購入できる時間帯や購入した物品を部屋に持ち込める時間には、各留置場毎に制限があります。
留置場の収容期間とその後の流れ
留置場での収容期間は、法律で定められています。
- 逮捕から48時間以内に警察が検察に送致。
- 検察が24時間以内に裁判所に勾留請求を行う。
- 裁判所が勾留を決定した場合、最大20日間の収容が可能。
※合計すると逮捕後最大23日間勾留される可能性があります。
その後の流れは、起訴されるか不起訴となるかで異なります。
- 起訴された場合:起訴状が届き、裁判へと進行します。起訴後10日ほどで拘置所に移送されます。
- 不起訴の場合:即時釈放されます。
留置場を巡る誤解と実際の違い
よくある誤解
- 「留置場と刑務所は同じような場所」
- 「留置場に入ったら、刑務所と同じように作業がある」
- 「留置場に入ったら有罪が確定している」
真実
- 刑務所と違い、刑務作業はありません。
- 刑務所では決められたものを基本的には食べますが、留置場では自分のお金でお弁当等を頼むことが出来ます。
- 刑務所と違い、購入できる品に制限はあるものの、所持金の範囲内で買い物をすることが出来ます。
- 留置場はあくまで取り調べのための施設であり、無罪の可能性が残されています。
- 裁判で有罪判決を受けない限り、「容疑者」であり、罪が確定していません。
- 刑務所と違い、平日なら毎日手紙を送り、受け取ることが出来ます。※警察署により異なりますが、手紙の送信はは1日1通まで、受け取りは1日3通までの制限をつけているところが多いようです。
まとめ
留置場と刑務所との違いについて説明してきました。
留置場の管轄は警察です。留置場は逮捕後の身柄を抑え、証拠の保全や逃亡を防ぎ、取り調べを集中して行うという目的を持っていて、刑事手続きにおいて重要な役割を果たす施設です。
留置場は被疑者の段階であり、罪が確定していません。ですから刑務作業のような仕事はありませんし、「自弁」などある程度の自由が認められています。
とは言え、留置場に入ると基本的には外部との連絡が遮断されてしまい、部屋から出ることは基本的に出来ません。家族や職場への連絡も弁護士を通じて行うことしか出来ません。そのため不安や強いストレスにさらされています。そこから生じる問題についてはまた別の記事で取り上げたいと思っています。
留置場の管轄が警察であったのに対し、刑務所の管轄は法務省です。裁判所で出た判決に応じて服役し、罪を償いつつ社会復帰を目指す施設です。
罪が確定し、社会復帰を目指して贖罪をしていく場所ですから、長期間の勾留、強い自由の制限、刑務作業の存在、という違いがあります。
この記事を読んで、留置場と刑務所の違いを理解して頂けたら嬉しく思います。